事例 INX.Label インクスレーベル
ルアーフィッシング専門のプロダクト開発をされているINX. Label(インクスレーベル)さん。母体である会社は元々ペット用品を扱われていて、代表の加来さんから10年程前に電話でお仕事の依頼をいただいたのが出会ったきっかけです。事務所に伺ってお話をさせていただいてから意気投合し、ペット関連商材のラベルやパッケージデザインの仕事をいただいていました。
その流れで、数年前に、ルアー関連の釣り具を展開されるということでまた声をかけていただいて、ロゴやパッケージなど含めたブランド全体のビジュアルを任せていただくようになったのが、INX. Labelさんとの仕事の始まりでした。
釣り具業界は今全般的に右肩下がりの状況にも関わらず、ルアーフィッシングのアングラーは年々増加傾向にあると聞きます。ルアーが若者や女性にも始めやすいからなのかもしれませんね。そういう状況の中で、同業他社が多数ルアー製品を出していますが、INX. Labelの商品のユニークさやカラーリングの綺麗さ、その一環として私が手掛けているパッケージ含めたグラフィックワークは、他社と一線を画していると感じます。また、創業された加来さんが、ライトゲームのパイオニア的な方なので、御自身のメディアやSNSでの発信が、さらに熱狂的なファンを増やしている理由の一つだと思います。その加来さんと、プロダクト開発に協力している全国にいるスタッフやテスターの手によって、他のルアーメーカーにはないユニークな商品バリエーションが続々と生まれています。
INX. Labelの基調トーンは赤ということ、ブランド全体のコンセプトとして、60-70年代にアメリカから日本にルアーやフライが入ってきた頃に特有のポップな雰囲気で、というリクエストを最初の段階でいただいていました。また、商品を購入するメインターゲット層は20代~30代、または10代という、比較的若い層をイメージしています。磯釣りや投げ釣りなどエサを使った釣りはシニア世代が多いですが、ルアーに関しては若者が主体なので、全体的に明るくヴィヴィッドなトーンを意識しました。ルアー自体もポップなカラーリングなので、そうした商品を活かす目立つパッケージやビジュアルをどう作るかがデザインの肝でしたね。
何種類もあるルアーのパッケージをデザインする際、まず最初の段階でカラーリングとサイズなどの一覧表をいただき、それを基に全体的にどういう見せ方をするかを考えていきます。ルアーの色がたくさんあっても実際に作るパッケージは1種類なので、共通して使えるように、汎用性のあるものを心がけています。そして、デザインする際はリサーチも重要だと考えています。実際に販売するであろう釣具店の売場へ足を運び、ここに商品が並ぶとしたらどの色、大きさがいいのかをイメージし、売場の同業他社の中でどう目立たせるかを考慮してデザインに落とし込んでいきました。
このポスターは、『ゴッツンバイブ』というカラフルなルアー商品をアピールするポスターが欲しい、ということで依頼されてデザインしました。女性の爪にルアーを合成ではめることで、ネイルのような派手さと、爪につけられる位の小さなサイズ感を表現しています。釣りというと、海や川を風景にしてポスターを作るのは、他のメーカーさんも普通にやっていることなので、それとは真逆のビジュアルを目指しました。釣り具関連の展示会でもひときわ目を引き、評判がいいそうです。
販路としては、釣具店やネットショップなど複数あり、売上は順調に伸びておられるようです。フェイスブックやツイッターなどのSNSでユーザーの良い反応を見かけるとやはり嬉しいですね。今後の展開に関しても加来さんご本人が市場を読みつつ色々と考えておられると思います。私の仕事はそれに見合ったビジュアルを作ること。今も継続的にビジュアルのデザインを依頼していただいているのは、信頼関係があるからこそですし、毎回精度の高いものを出しているからと感じています。今後もお客様の期待値を上回るデザインで、ブランドの魅力づくりに貢献できればと思います。
私は広島出身ですが、大学在学中から約20年以上、東京を拠点にデザインの仕事に携わってきました。現在はWebデザインとグラフィックデザインを中心に、それらにまつわるブランディング、プランニング、コンサルティングの仕事をしています。高級感やクオリティを出せるところを評価していただいて、様々なクライアントから仕事のご依頼をうけています。広島にUターンしてからも自分のペースでデザインの仕事をしながら、最近では専門学校の教員として、自分の息子くらいの世代の学生にメディア表現、情報デザインなどを教えています。彼らから受けるフィードバックも少なからずありますし、制作とは違った面白さや難しさがありますね。
「計画的偶発性理論」という理論があるのですが、その時々で出会ったチャンスみたいなものを取り入れて伸びていく方法論なのですが、自分の行き方にも少なからず当て嵌まるところがあり、今後もその時々の課題に精一杯取り組みながら、その過程で出会う面白いものを取り入れて行ければと思っています。
ロゴ、ポスター、パンフレットからウェブサイト、アプリケーションUIまで、アナログとデジタルの両分野を手掛けています。企画・ご提案段階から制作まで、総合的なアートディレクションを手掛けています。
広島市安佐南区西原1-10-2-501