事例 オイスターキッチン
マルイチ商店さんは東広島市安芸津町で明治30年から続く老舗の魚問屋。広島県産生牡蠣の卸を中心に事業をされている会社です。生牡蠣は季節物の商品なので、冬に仕事が集中してしまう。そこで、自社で通年販売できる加工品として、牡蠣を丸ごと使ったせんべいを作られていました。
今後も、さらに加工品の開発に力を入れていきたいと思われている時、ちょうど自分も独立したタイミングでマルイチ商店さんを紹介していただいて、そこから一緒に新しい商品のグラフィックとウェブを担当させてもらうことになりました。
商品開発の担当である柏迫さんは、せんべいの次の加工品はオイル漬けを作りたい、という思いをすでにお持ちでした。また、そのオイル漬けは、広島のお土産物として売り出すというよりは、都市圏の高級スーパーで、日常的に手に取って食べていただけるような、スタンダードな商品にしたいというビジョンも、初期の段階から思い描かれていましたね。
販路作りのためにビジネスフェアに出展することを見据えて、半年くらいかけてロゴデザイン、ウェブサイトを制作するスケジュールで進めました。ウェブサイトは、ブランドのメッセージを広く伝えるためにも有効なので、早い段階で作りました。
社内に外部のデザイナーを入れるのは初めてのことだったようですが、商品開発の段階から入らせていただき、実際の商品の部分は柏迫さん、見せ方やブランディングは自分が担当という二人三脚の体制で、まずはブランドコンセプトを固めました。「今夜はお家でオイスターバー」というブランドコンセプトは、リリースから5年たった今でもブレていません。
コンセプト策定後は、商品をいれる瓶選び、販売価格の検討も一緒に行いました。競合商品と比較検討しながら、資材にこのくらいかかるなら、価格はこうだねとコミュニケーションを取りながら決めていきました。
商品のネーミングは他にも候補があったのですが、コンセプトを分かりやすくお客様に伝えるためにも、分かりやすい表現がいいよねということで「オイスターキッチン」と決定しました。
そうして決まったコンセプトやネーミングをロゴデザインに落とし込んでいく時に大切なのは、やはり最初に決めていたターゲットとビジョンなんです。高級スーパーに日常的に置いていても違和感のないものということでしたので、どちらかというとモダンで、牡蠣のパッケージとしてはあまりないデザインになったと思います。
もう一つどうしてもロゴにいれたかったのが、牡蠣の産地である安芸津という地名でした。このあたりの地域性をパッケージに落とし込むということは、実はスコッチウイスキーを意識しているんです。知る人ぞ知る小さな町の地名が入っていたりすることで、その地域の誇りだとか、地域への愛が感じられるなと。小さな文字ですが、「AKITSU HIROSHIMA」をちゃんと入れ込んでます!
食品なので、ウェブサイトやパンフレットで使う美味しそうな写真は絶対にマスト。実は料理も柏迫さんと一緒に作って、盛り付けに使うお皿も一緒に選んで撮影しています。オイスターバーに出てきそうな料理を、ビールなのかワインなのか、どんなお酒に合わせてみようかと考えながら作って撮影しています。
最初は何もない状態から立ち上げた新商品開発プロジェクトですが、実際に首都圏、関西など県外のデパートやスーパーでも取り扱われるなど、とても順調に伸びているようです。
当初は牡蠣のオリーブ漬け1商品だけでしたが、元々バリエーション持たせて充実していきたいという思いもあり、現在はサイズ違い、味違いで色々な商品展開が実現できています。
初期の段階からどういう思いで作って、どこに置いて、どんな展開をしたいかがきちんと定まっていたから、効率よくブランド展開ができたのだと思いますね。
私自身は2010年に創業して8年目になりますが、今回のような地域の産品を製造している、広島県内の中小企業さんとのお仕事が多いです。ウェブサイトを作りたいんだけど、どういう風に展開していくかという相談をきっかけにパッケージを含めてトータルでブランド作りをお手伝いさせていただいています。色々な業種の仕事をしていますが、食に関する仕事は好きなので今後も携わっていきたいですね。
企業なり、商品なり、やはり持っている「らしさ」があるんです。その「らしさ」は差別化にもなりますし、そこが伝わるようなデザインを心がけています。
制作の仕事以外に、デジタルハリウッド広島の講師としてクリエーターを目指す方たちの指導もしています。
よく言っているのが、自分のことって、自分では意外とよく分からないということ。デザイナーと話すことで自分の思いを明確化できるし、もしかしたら新しい発見があるかもしれない。それを形にするのが私たちの仕事だと思っています。今後も地域の魅力的なものを発信していく仕事に関わっていきたいですね。
WEBサイトから、ロゴ、パッケージデザイン、販促ツールの制作までワンストップで行っています。
「なぜか気になる」「なんか好き」そんな気持ちが生まれる
ブランドづくりをお手伝いします。
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