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ワクワクドキドキ
子供心を表現した
ミュージアム
事例 篠山チルドレンズミュージアム
篠山チルドレンズミュージアム
博物館
Studio Racca Planet
グラフィックデザイン

INTERVIEW

遊びと学びが融合しひびきあう、子どものための体験施設

イラストの仕事で普段から出版関係の方とご一緒することが多いのですが、このお仕事も出版社の方とのつながりで声をかけていただきました。1990年ころでしょうか、日本ではあまり知られていなかったんですが、アメリカの各所にはチルドレンズミュージアムという参加体験型の文化施設があると知りました。画期的な展示方法や斬新な運営、カラフルで楽しい空間で実にいきいきと過ごす子ども達、ミュージアムというと普通は、「展示物には触らない」や「行儀良く」が原則ですが、チルドレンズミュージアムの場合はその反対「どうぞ触ってください、そして何かを発見して驚いてください」というスタンスなんです。それはまさしく目からウロコが落ちる感覚でした。その出版社の方から、日本でもそういう施設をやりたいというお話を聞いて、自分もぜひ関わりたいと意気投合して話が進んでいきました。

廃校をミュージアムへ、篠山市との取り組み

篠山チルドレンズミュージアムは、兵庫県の篠山市で廃校になった中学校を、地域のために再生するプロジェクトとして、篠山市へのプロポーザルのプレゼンテーションをする段階からスケッチを描いたりして一緒に作りあげていきました。実施が決まってからは、基本的にはプロデューサーがやり取りはしますが、要所での打ち合わせは同行して、市の担当の方や住民の方達で作られたボランティアチームと話し合いながら、どういうものがこの地域にふさわしいのか、どういうものがあればいいかを検討しながら進めていきました。

校舎自体を、一つのキャラクターとしてデザインしたロゴマーク

その中で私は全体的なアートディレクションをしながら展示コーナーの企画やデザインを担当させていただきました。まずはミュージアムの顔となるロゴの作成から取り組みました。ミュージアムの中心となる木造校舎は、最初見に行った時は廃校になった後で、風情はあるけどほとんど廃墟のような状態でした。校庭も草ぼうぼうでさみしい感じでしたね。でも訪れた時にパッと目に入ってくるのはやはりその校舎なんです。だからロゴの中に校舎を入れることで、今はさみしい校舎が生まれ変わっていくシンボルになればいいなと思いました。校舎のスケッチを重ねて、校舎自体を一つのキャラクターのような感じでロゴマークに仕上げました。

ロゴの文字は、色とりどりの遊具が組み合わさっているイメージで、明るく楽しく元気な色を使っています。篠山は丹波の黒豆の産地なので、黒豆をモチーフにしたシルエットを用いて地域性も出しています。

キャラクターは、ミュージアムの住人

ロゴにつづいてミュージアムに使うキャラクターの作成にとりかかりました。

元々学校なので、広い敷地内にいろんな個性を持った場所がありました。そこでキャラクターは一つだけではなくて、展示や遊具を置くそれぞれの場所にそれぞれのキャラクターがいても面白いんじゃないかということになり、コーナーごとにキャラクターを作って、そこの住人という設定で考えていきました。

自然あふれる環境から生まれた、個性的なキャラクター

ミュージアムのある篠山市は、自然に囲まれたのどかな場所で、イノシシやヤギ、ニワトリなど動物が普通にいるんですよね。ミュージアムに来た時に、そういう動物のキャラクターがいたら自然とつながると思い、キャラクター候補の動物をリストアップして、ミュージアム内の場所とどういう風に関連付けるか考えていきました。それぞれのキャラクターには名前と、個性のある設定を決めています。

例えば、このナマズの名前は「ナマズハカセ」。設定は「あふれるアイディアと独特のユーモアで我が道を行く科学者のナマズ。密かにノーベル賞を狙っている」。こういうキャラクターが場所ごとにいると思ったら面白いし、親しみがわき、もっと見つけたくなりますよね。最終的に、キャラクターは10体デザインしました。

ユニークな展示物が、家族のコミュニケーションを作る

それから館内の展示物のデザインに取り掛かりました。展示の基本コンセプトは「各年代の子ども文化を通して世代間の交流を促す」というものでした。やり始めるとこれがまた大変なボリュームがありました(笑)。
例えば年表、博物館にはいつも年表がありますが、ただパネルに文字が書いてあるだけではあまり読まれないんですね。でも展示的には必要なんです。作るなら見てもらえる面白い年表を作りたいと思い、自分で読み進まなくても待っていたら向こうから来てくれる年表があったら・・と考えました。向こうから勝手に来てくれるもの・・ で思い浮かんだのが「回転ずし」だったんです(笑)。回転ずしのテーブルにいろんな年代の遊びネタや、子供文化を表すアイテム、おもちゃなどが時の流れのように回ってくる、それをみて同世代や2世代3世代で話し盛り上がるきっかけになれば、と思ってデザインしました。

アイディアを形にしていく、展示物のデザイン

他にも給食をネタにして、全国で残されて食べられなかった給食を供養する「食わず嫌い神社」や、世界の子どもの遊びが体験できる「世界の10才」コーナーなど、展示のアイディアをひねり出してデザインし形にしていくのが面白くもあり、大変でもありました。校庭の遊具は一つ一つスケッチを描き模型を作って、業者さんに施工していただきました。やることはとても多くて、最後の1-2か月は現地に泊まり込みで、いろんなものがどーっと並行して進んでいる状態でした。

子供たちの反応が、ダイレクトに伝わる嬉しさ

最初の提案から3年くらいかけて、2001年に篠山チルドレンズミュージアムがオープンしました。オープンした時に、子どもたちが大騒ぎしながら、楽しそうに、ワーッと走り回る様子を見た時は感動しましたし、嬉しかったですね。私のメインの仕事はイラストを描くことですが、一人机に向かいもくもくと描いたイラストが出版されても、その本を誰がどのように見てくれているのかは、なかなか実感としては分からないんです。色んな人と協力し合いながら仕事をするのは楽しかったですし、このような場所作りに最初から最後まで関われたのは、とても貴重な経験だったなと思います。

実は後日談で、このミュージアムは予算の関係などで一度閉館になったんです。その時に、ミュージアム立ち上げ当初から支えてこられたボランティアクラブの方たちが、それではいけないということで復活運動をされたんですね。その甲斐あって、今は無事復活しています。復活した時に、一度ダメになったものがひっくり返ったという意味で、こうもりをモチーフにした11体目のキャラクター「おかえりこうもり」を作りました。

デザインとイラストで、広島を盛り上げたい

私は主に子供向け出版物へのイラストを描くお仕事をやっています。私自身が著者として出している絵本も10冊くらいあって、日本や世界の国々をイラストで表した本やからだのなかを巡る本、各国のなぞなぞを集めた絵本、紙芝居など、知育的な要素のある「楽しくてためになる」本をめざして日々こつこつと描いています。

今は地元の広島を拠点に仕事をしているので、イラストやデザインで何か広島が盛り上がるようなことに貢献できたらいいなと思っています。実は子どもの頃カープの選手が夢だったので、イラストでカープに関わることができたら最高だなぁと思っています。シーズン中はカープの試合をネタに描いたイラストを動画にしたりして、自分のSNSで発信しているんですよ。

デザインの力で、見せ方を変えられる可能性

自分ができることは、やはりデザインとイラスト。例えば企業のイメージも、何かキャラクターが一つあるだけで活動内容や商品に、より親しみが持てるものになるかもしれないし、ロゴの雰囲気などを明るく楽しい雰囲気にすることで、企業のイメージがより身近なものになるかもしれませんよね。

デザインやイラストを取り入れることで、見た人や使った人の気分が楽しくなったり、雰囲気がよくなったり、伝えたい事が分かりやすくなったり、そんな効果を実感してもらえる仕事ができたらいいなと思っています。

垣内 敬造
篠山チルドレンズミュージアム 館長
Studio Racca Planet

デザインするうえで一番大事にしている事は遊びごころです。
見てくれた人に楽しくて明るい気持ちになってもらえたり、
発展的な交流のきっかけになってくれたらうれしいです。

広島県廿日市市
WEB
http://nishimoto-osamu.com/
従業員数
1名
創業
1998年
にしもと おさむ
イラストレーター

Studio Racca Planetのその他のお仕事

松江市のケーキショップ「クロード」
39周年記念ロゴのデザイン
千葉県御宿町のカフェ「はらどけい」
ロゴデザイン/ステッカー
広島版「キッズ・ゲルニカ」のロゴ
ロゴデザイン