1月8日(木)、広島市役所にて2回目となる「行政とデザイン」をテーマにしたセミナーを開催しました。
昨年に引き続き、UMA/design farm代表の原田祐馬氏とTSUGI代表の新山直広氏をお招きし、行政事業にデザイン視点を取り入れる考え方や事例についてお話しいただきました。
前半はお二人による講演、後半は参加者の皆様からの質問にお答えする形でパネルディスカッションを行いました。
前半はまず、新山氏よりデザイン思考を取り入れた取り組み事例をご紹介いただきました。
デザインとは、見た目を整えるだけでなく、問題を解決するために“仕組みそのものを再構築する行為”であるということ。
「千代田区の公園基本方針2025+公園リニューアル」の事例では、画一的な公園からの脱却と、多様な利用を可能にすることを目指し、行政主導ではなく、区民が使い方を自由に考えられる“余白”を残した点が秀逸だと話されました。
また、三次市が民間企業2社と連携して実施している「バス&レールどっちも割きっぷ」は、通常は競合関係にあるバス会社と鉄道会社が組織の壁を越え、利用者目線でサービスを再構築した好例として紹介されました。
続いて原田氏からは、「行政の『仕組み』と、デザイナーの『仕掛け』を掛け合わせる」という視点でお話しいただきました。
児童養護施設から和室の壁紙を選んでほしいという素朴な依頼が発端となった事例では、暮らす子供達の生活スタイル、居室空間のあるべき姿といった背景について深くヒアリングをしたところ、壁紙の選定にとどまらず、部屋全体のリノベーションへと発展しました。
この事例は、クライアント自身も認識していなかった潜在的なニーズをデザイナーが引き出すことで、結果的にクライアントの期待を大きく上回る価値を提供できた好例として紹介されました。
後半のパネルディスカッションでは、参加者からの質問を交えた意見交換が行われました。
「行政と仕事をするうえで最も苦労した点は何か」という質問に対し、新山氏からは「納品間近のどんでん返し」、原田氏からは「入札やプロポーザル以外の新しい契約方法はないか」といった、現場ならではのリアルな本音も伺うことができました。
「一般の人へデザインをどう普及させるか」という問いに対しては、「デザイン=色や形だけではないと伝えること」が大切だとのことです。
近年はCanvaなどの誰でも扱えるデザインツールが普及したことで、非デザイナーでも手軽にチラシなどを作れる環境が整ってきています。しかしその一方で、最終的にプロジェクトの方向性や質を左右するのは、課題を読み解き、本質に基づいた選択を下せる“デザイナーの視点”であり、ツールの進化によっても代替されない専門性が必要であることにも触れられました。
行政とデザイナーが連携しながら地域の課題に向き合っていくうえで、それぞれどのような役割を担っていくのかを考える機会となりました。
ご登壇いただいた新山さん、原田さん、そしてご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
と、つくるを運営する広島市産業振興センターではデザインマネジメントセミナーはじめ、複数のセミナーを毎年開催しています。セミナー情報については、当サイトやフェイスブックページで随時お知らせします。