事例 社会医療法人 千秋会 井野口病院
広報誌 はつらつ
社会医療法人千秋会 井野口病院さんは東広島市西条にある病院です。2022年から病院の広報誌『はつらつ』のリブランディングとデザインを担当させてもらっています。元々医師である故・井野口会長自身が、「病院には、コミュニケーションツールとしての媒体が必要だ」と思われていて、院内誌と院外誌をあわせた、職員や患者の情報がミックスされたような冊子を作られていたそう。そんな広報に対する強い思い入れは現理事長にも引き継がれています。
リニューアル前の『はつらつ』は、前担当者が企画もDTPもデザインも担当されていたそうですが、その方の退職と同時に休刊されていました。広報係に井手本さんが入職し、二人体制になったのを機に「リニューアルして再発行しましょう」と理事長からの発案でプロジェクトがスタートしました。
最初の打ち合わせから決まっていたのが「病院が発行する医療情報の広報誌というより、西条地域のタウン誌のようなものを作りたい」というコンセプトでした。病院の広報だけにとどまらず、地域に密着して、地域のことを伝えることで、地域の方々と広くつながっていきたいという思いを感じましたね。そこで、冊子の構成として、巻頭特集の他に、地域のグルメ情報、職員さんの仕事内容や人柄が知れる企画などのコーナーをご提案しました。
冊子全体を通して大切にしたのは、バランス感です。病院情報ばかりだと固すぎるし、健康情報ばかりだと読み手の属性が限定されてしまいます。どの世代が読んでも、パラパラとめくって息抜きにもなるようなコーナーを作り、親しみやすくて分かりやすい、病院としての信頼度も確保できる、バランスの取れた冊子になるように意識して構成しています。
『はつらつ』の中で一番特徴的なのは、なんといっても表紙のデザインです。いつも病院側から割とトリッキーで面白いアイデアをいただくので、私たちからも病院の広報誌というイメージにとらわれない、遊びのあるデザイン案をご提案しました。
リニューアル最初の表紙は、牛乳瓶を跳び箱にスタッフが跳んでいるビジュアル。巻頭特集のテーマ『カルシウム』と『転倒』にかけていますが、結構インパクトありますよね。
その後も特集のテーマに沿った表紙のビジュアルを検討し、広報のお二人と病院スタッフさんが自ら、表紙の写真を撮影しています。私たちも「ここまでやってくれるってすごい!」と、毎回表紙の写真をすごく楽しみにしているんですよ。どの号も、『はつらつ』という言葉を活かしたビジュアルで、元気溢れる表紙デザインになっています。
リニューアル前は院内のみで配布されていましたが、現在は地元のスーパーや、産直市、道の駅などに置かせてもらっています。表紙のインパクトがあるので、目にとめて持って帰られる方が多いそうです。号を重ねる毎に、なくなるスピードも速くなり、地域の方にも少しずつ認知され、発行を楽しみにしていただいているようで嬉しく思っています。『はつらつ』を読まれる方は、患者さんご本人だけではなくそのご家族や将来病院に通う可能性のある方々など、20代~60代位の幅広い層。この施設なら、安心して自分や家族を任せられると思えるような印象を与えられるデザインにしています。
デザインする際に、意識しているのは色味とイラスト。クスっと笑えるようなユーモアがありつつ、読み手にとってノイズにならず情報が入りやすくなるように作っています。
『はつらつ』の発行は、井野口病院さんの利益に直結はしません。健康に役立つ情報や地域のこと、病院のことも少し知ってもらうことで、地域の方と良い関係が築ける広報誌をめざしています。その結果、この地域で永続していく法人として、地域の方の認知度や好感度を高めていくことが大切、という考えで活動されています。その『はつらつ』の活動を含めた病院の広報活動が、『病院ファンづくり甲子園』を受賞するなど、地域の方から愛される病院作りへの取り組みは確実に評価されているようです。
広報のお二人が「病院と地域をつなぐ橋渡しをしている」と言われているこの取り組みを、私たちも明るく楽しく、はつらつと伝えられるように、今後もデザインでサポートしていきたいと思います。
私たちの仕事としては、今回の冊子のような、定期発行物や複数ページある紙媒体のデザインやDTPなど多くご依頼いただいています。ご依頼内容は、お金と時間が十分にある案件もあれば、限られた予算での案件もあります。「予算や人手は潤沢ではないが、どうにかしたい!」という企業さんに寄り添って、制限がある中でも喜んでいただけることを提案するのが私たちの役目だと思っています。
コンセプトワークは先日創業20周年を迎えました。代表の川上はじめ、社員は意図せずも全員女性。社員の結婚や出産などのライフステージが変わるたびに、私たちの視点や働き方も変わります。最近では女性ならでは、と言えなくなってはいるものの、やはり共感力や懐の深さ、柔軟性などは私たちの強味。今後もその強みを活かして、困ったらコンセプトワークを思い出していただけたるような対応や仕事をしていきたいです。
企業広報誌・学校案内など冊子デザイン、シンボルやロゴを制作。企画提案・編集から制作までトータルに手がけ、お客様の思いを広く皆さまへ届けるお手伝いをしています。
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