事例 ポポロ クリアファイル
三原市芸術文化センターポポロは、三原市民に文化芸術を浸透させていくことが目的で2007年にできた施設です。ホールでコンサートやリサイタル、演劇などのイベントが開催されたり、外の芝生広場はお子様連れでくつろげる場所となっています。冬はイルミネーションも設置されたりと、三原市民が楽しめる企画も開催されています。半円形のドームがシンボリックな建物は、三原市でもかなり存在感のある場所です。そんなポポロを運営する、みはら文化芸術財団さんが、ポポロのオリジナルグッズの製作を検討されていたんです。担当の木曽さんが、たまたま私のデザインしている三原をモチーフにしたグッズを手にとってくださったのがきっかけで、共通の知り合いを通してお声がけいただいたのが始まりでした。
私は三原出身なのですが、実はお仕事をさせてもらうまではポポロに行く機会があまりなくて。ポポロで開催されているイベントなどはチラシで目にすることはありましたが、ちょっと敷居が高いというか、用事がないと中々足を踏み込まない場所だったんです。せっかく三原にこんな素晴らしい建物があるのに、もったいないですよね。イベントなどで市外や県外からも来られる方が多いそうですが、今回木曽さんとお話する中で、遠方の方だけではなくて、市内の方にももっと足を運んでほしいという気持ちがあると伺いました。2020年4月から、ポポロの管理が今の財団に変わったこともあり、ポポロがどんな場所か、もっと知ってもらうためにアピールできるようなものを作りたいとのことで、気軽に使えて、気軽に配れるクリアファイルを作りたいというお話をいただきました。
打ち合わせの中で、木曽さんの思いをたくさん聞かせていただきました。ポポロの活動内容が伝わるようなもので、親しみやすいものがいいけど、これまでの格式高いイメージは守りたいとおっしゃっていたので、そのあたりのバランスをとりながら考えて、3種類のデザインをご提案しました。当初は、この中から1種類を選ぶ予定でしたが、全部気に入っていただいて、ありがたいことに全部採用して製作していただきました。
象徴的なポポロの建物と、芝生広場に集う人々を描いた「あつまれポポロ」は、イタリア語で“人々・市民”という意味であるポポロの単語にぴったりのデザインです。ピンク色の「とびだせポポロ」は、建物から音楽、芸術、文学などのモチーフが発信されているイメージ。「じっくりポポロ」はポポロの格調高いイメージを一番守っているベージュ色のピアノモチーフのデザインです。
クリアファイルにはちょっとした仕掛けがあるんです。当初、グッズ販売以外の用途として、お客様にポポロのイベントパンフレットをお配りする際に、クリアファイルに入れて渡したいという話がありました。だったら、クリアファイルの特性を活かして、中に差し込んだパンフレットが透けて見えるような仕組みだと面白いし、クリアファイルが額縁のようになって、中身が引き立つのではないかなと思ったんです。このアイデアも気に入っていただいて、採用していただきました。結果、斬新なデザインになって、手に取っていただく方にも楽しんでいただけるものになったと思います。
現在はポポロ内にお土産物を販売しているショップはないのですが、受付でクリアファイルは常時販売されています。ポポロに来た記念に何か買って帰りたいという要望がお客様からもあるようなので、その第一歩としての取組が形になって良かったと思います。
これまでポポロさんと何か関わりを持てることはないだろうなと思っていたので、ポポロさんからお声掛けいただいて、一緒にお仕事できたことはすごく感謝しています。同じように、三原市民とポポロの距離感を、親しみやすさを持てるようなグッズを作ったことで、近寄せることができたんじゃないかなと思っています。私のデザインが中間的な立場になって、三原市民とポポロをつなぐ架け橋になれていたら嬉しいですね。
今回木曽さんが目にとめていただき、この仕事のきっかけとなった私自身のブランドが「みはらモノトコ」です。立ち上げたのは、2020年に地元の三原に帰ってからなのですが、その前まではずっと東京を拠点に活動してきました。元々絵を描くのが好きだったので、デザインの学校を卒業後は、デザイン事務所で仕事をしていました。その後フリーランスになったのですが、30代になった位から、東京で消費するだけの生活に疑問を感じてしまって。そうして広島移住を考えるようになり、幅広く移住先を探したのですが、中々しっくりくる場所がなかったので、一旦地元の三原に帰ってきたんです。そのタイミングでコロナ禍となり、なかなか移動がむずかしくなりました。何か三原でできることがないかと模索していた時、東京にいた頃から感じていた「三原にはかわいいお土産物がない」というのを思い出しました。それならば自分で作ればいいのではないかと思い立ち、東京でやってきた雑貨デザインのノウハウを活かしてブランドを立ち上げました。
「みはらモノトコ」は三原の名物(モノ)や名所(トコ)をモチーフにしたブランドです。手に取った方が元気になるような明るい色使いを心掛けています。立ち上げてようやく1年ですが、最近は色々な所から声をかけてもらえるようになってきて、三原の道の駅や空の駅で商品を取り扱っていただいたり、広島空港やロフトなどでも催事をさせていただきました。このブランドをきっかけにたくさんの方に三原のことを知ってもらいたいなと思っています。また、この商品をきっかけに三原の企業さんからのお仕事の依頼も増え、新鮮な気持ちでお仕事させてもらっています。
三原には美味しいものがたくさんありますが、デザイン的にはあまり力を入れていないものも多くあります。今後はそういった商品のお手伝いができたらいいなと思っています。そうやって活動していくことで、デザインの価値を理解してくださる方が増えていってほしいです。
広告やロゴデザイン、イラストを使用した雑貨のデザインなど幅広く手掛けています。
明るい気持ちになれるような色使いのデザイン&イラストを得意としています。
広島県三原市