事例 淡雪塩
日東食品工業さんは広島で80年以上続く老舗食品メーカーで、一般的にはニット―リレーというブランド名で親しまれている企業。元々は昆布茶の専門メーカーでしたが、今では昆布出汁を中心に多岐に渡るジャンルの商品を作られています。
新商品はスーパーや百貨店などの食品バイヤーさん向けの展示会で発表し、知っていただいて、それから取引が始まるのが通常の流れだったのが、コロナの影響を受けて、そういった展示会が一切できなくなったそう。そこで営業に使えるような、商品を紹介した分かりやすい映像を作りたいと考えられていたそうです。そんな時に、知り合いを通じて代表の冨海さんとお会いし、お仕事させていただくことになりました。
今回映像化したのが、新商品の「泡雪塩」という塩の調味料でした。普通の塩と違い、特殊な製法で薄く平たく加工している塩は、振りかけると雪のようにヒラヒラと舞い落ちる形状。舌に接触する面積が広いので、少量でもしっかり塩味は伝わり、口溶けが良いのが特徴の商品でした。この塩の魅力をどういう風にPRするか、自分たちでは分からないからと、伝えるための映像制作のご依頼をいただき、冨海さんとお打ち合わせや試食を経て、まずは企画書を作ってご提案しました。企画書では、どんな背景でどんな風に撮るか、文章なども入れた絵コンテを作ります。それを基に何度かすり合わせをしてイメージを確定させていきました。
実際の撮影に入る際に重要なことは、箱・物・人。納品期日を踏まえて、場所、機材、スタッフを押さえて撮影スケジュールを組み立てます。試食の際に思ったことが、塩が白いから魚より肉と一緒に撮影したほうが見栄えが良いだろうということでした。そこで、鉄板焼きのお店をあたり、コロナ禍ではありましたが、お店を提供していただいて撮影に入りました。撮影はディレクター、カメラマン、照明、音声、アシスタントなどで行いました。お肉の焼き加減、食器や箸などの小道具などは、こちらですべてコントロールして、当日は滞らないように撮影することができました。
映像を作る上で、誰向けにどういう目的で作るかは大事な要素。そこは冨海さんが「西日本の営業マンが食品バイヤーに訴求するため」ということを明確にされていたのでスムーズでした。そのためにどの程度の情報量が必要かという匙加減は難しかったですが、詳細な情報は営業マンが直接バイヤーさんに説明したいということで、極力商品そのものに焦点を当てて、余分な文字や言葉の情報は省いて制作しています。
映像制作はロケを始め、色んな職域の人の協力なしにはできません。だから、ディレクターである私の考えていることを、冨海さんを始め、他のスタッフみんなと共有できるようするのが大切です。現場に入る前にある程度仕上がりを共有して、みんなが同じ方を向いて動けるようにすること、それが一番難しく、映像の仕上がりを左右する所なんですよね。
完成した26秒の映像は、シンプルに商品の特徴が伝わるものとなりました。納品後は営業マンがバイヤーに見せて、実際商品を置いてもらうことに繋がり、好評をいただいているようです。意外だったのが、海外のお客様にも刺さっていること。アジアだけではなく、ヨーロッパのお客様にも買っていただくなど販売層が広がっているのは嬉しい結果でした。
映像を観られた冨海さんからは「そう来ましたか!」という感想をいただきました(笑)。考えていたものはある程度紙ベースや話の中で共有できていましたが、音や映像化することで、自分の考えていたことと良い意味で違うものになっていたんでしょうね。
今回Findenが果たした役割は、新商品をかみ砕いて言葉と映像で表現して、商品をユーザーの末端へ届ける手助けだったと思います。いつも心掛けているのは、自分の観点に合った映像作り。自分の生活にこの塩があったらどういう生活になるか、それを考えられる視点で作ったつもりです。バイヤーさんが一般のお客様に販売するということは、一般のお客様に落とし込めるようにイメージできないといけませんからね。
Findenは2020年に創業したての会社なので、実績として見せられるものが少ない中、冨海さんが仕事を依頼してくださった決断に感謝しています。最初はお互い初めましてで探り探りでしたが、今回の仕事をきっかけに今後も良いお仕事をしていけたらと思っています。
元々自分のキャリアは報道カメラマンからスタートしていて、一般の方から、政治、企業、スポーツ、芸能関係など多岐に渡って長年撮影や映像の仕事を通じて被写体心情にも携わってきました。Findenとして独立してからも、日東さんのように直接依頼を受けることもあれば、代理店さん経由の仕事も多いです。自動車、スポーツ、飲食、化粧品、教育など、様々な業種の撮影に携わっています。広島にもたくさん映像や撮影に強い会社はありますが、Findenの特徴としては物の撮影が得意なこと。また、超スローモーション動画のような動きはあるけど動画ではない、新しい表現にもチャレンジしています。
映像制作は価格が高いイメージがあり、一部の大手企業のものだと思われている企業さんも多いと思います。私は、そんな鼻高々でやる仕事にはしていなくて、響く写真や伝える映像は、中小企業を盛り上げてこそだと思っているんです。なので、ぜひご相談に来てもらいたいです。自分の仕事でお客様が喜んで、世のため人のためになったら嬉しいですね。
納品地点を見据えた広報戦略を立て、効果的な方法(写真・映像・アニメなど)を提案。目的の明確化を行い、必要なモノを企画から明示、解説した上で段階的に支援します。
広島市中区舟入南4-3-17-102