事例 root. コミュニケーションツール
root.の代表藤田さんとは、商工会の創業支援起業塾で出会いました。藤田さんは、パーソナルトレーニングジムをこれから起業されるというところ、僕は一足早く起業していたのですが、もう少し色々勉強したいと思って参加していて、一緒に勉強したのがご縁です。起業塾では事業のこと、将来のビジョンや、それに向けての戦略をどうするかなど、色々一緒にお話しする機会があります。その中で、自分がデザインの仕事をしていることを知っていただいて、それならば、ということで、名刺制作の依頼をいただいたのが今回のプロジェクトの始まりでした。
名刺づくりを依頼していただいたものの、決まっていたのは「ルート」というお店の名前だけでした。ロゴマークやキャッチコピーなど具体的なものが、まだ何もなかったんです。
そこでまず一番最初にしたのは、やはりヒアリング。なぜそれをやりたいのか、根っこにある情熱の源の部分を確かめることでした。藤田さんの場合、元々は全く違う分野で働かれていたそう。その後、実体験から心身ともに健康であるための運動の大切さに気づき、独学で資格を取得した後に転職、業界での経験を積まれてから起業を決意された経緯がありました。そのコアになる想いの部分をベースに、コンセプトを立ててデザインの方向性を提案した企画書を作って、それを使って対話しながら想いを形にする作業が始まりました。
ジムというと、痩せたい、マッチョになりたい、という結果を出すことが目的な所も多いと思います。ルートさんが大切にしているのは、見た目の変化よりもその人自身が健康的に、もっと輝いて生きていくための暮らしに寄り添うトレーニングを提供する、ということ。だからロゴデザインは、日常の中に自然に溶け込むようなニュアンスが出せるように検討していきました。英語表記で「root.」に決定した店名には、自分の土台となる「根っこ」を育むという意味を込めています。ルートの頭文字の「R」と「R」を反転させた文字で構成されるロゴマークは人の姿になっています。奥様と二人三脚で経営されていること、トレーナーとお客様のマンツーマンのジムであること、人との結びつきを大切に、という意味を込めています。
ロゴの色味や形は、さまざまなパターンを提案して細かく詰めていき、最終的には藤田夫妻の柔らかい人柄が伝わるような、リラックス感のあるトーンに調整しています。そこで意識したことは「トレーニングジムらしくないジム」ということ。ぱっと見て業種が分かることも重要かもしれませんが、今回はどちらかというと業種よりもコンセプトの部分が、少しでもにじみ出ることを考えて作りました。最初のご依頼は名刺だけでしたが、ショップカードもあったほうが良いとご提案して作っています。媒体ごとの役割は重要で、名刺はお会いした方に直接、ショップカードは不特定多数へ届けるものなので、どういう情報を入れるかは届けたい人やシチュエーションなどを意識して精査しています。
藤田さんと対話する中で、開店前にお店の前を通りかかる人が、何のお店かな?という風に覗いておられることがあるという話がでて。そこで、お店から地域の方へ「はじめまして」の挨拶のために、看板やポスターなどもあったら良いねという話になり、各種ツールをご提案しました。ポスターは二つのターゲット層に向けて二種類作成しています。一つは年配の方用に、いつまでも健康で元気にいられるためのトレーニングを。もう一つは若い女性向けに、自分を磨き、日々を美しく楽しく過ごすためのトレーニングを訴求したものです。これまでジムに縁がなかった方にこそルートに来ていただきたいと考え、自分事として捉えてもらえるように、写真とコピーを変えて作っています。コミュニケーションの最初のツールとしてのポスターを見て、行ってみたいなという距離感をどうしたら醸成できるか、込めるべきメッセージを選び抜くことをすごく意識しています。
藤田さんご夫妻からは、思い描いていたけどはっきりしなくて、モヤモヤしていたことを言葉や形にしてもらったおかげで、納得いくものが作れたと言っていただけました。ルートさんが一番お客様に届けたいものを一緒に明確化したことが、今回僕が果たした、一番大きな役割だったと思います。明確化したものを目に見えるカタチに落とし込んだものが、名刺やカードなどのコミュニケーションツールなんですよね。毎回どんな仕事の時も思うのですが、商品やサービス、事業や人の中にはたくさんの想いや感動があって、1つのツールには収まりきらない。けれど、だからこそ深いところで繋がれるメッセージを込めたいし、手に取ってくださる方の心に残るようなものが届けられたらいいなと思っています。
藤田さんとはお互いの夢を語り合える関係なので、夢の実現のために互いに協力しあえていることが嬉しいですし、仕事を通して良い経験をさせていただいたと思います。僕自身、本質を深く探ったり、長期的な価値を作る事にとても興味があるので、お客様とも長期的なビジョンを共有しながら、役立つツールを二人三脚で一緒に作る仕事に携わっていきたいと考えています。
むすびデザインは創業3年目ですが、僕はデザインに関わって12年、その前は音楽活動などもしていました。得意なのはお客様の想いやイメージを掘り下げて、それを言語化すること、そしてその世界観をデザインという形にしていくこと。出会った方の中に眠っている素敵なものや、作り上げる中で生まれる感動に出会いたいし、それを見て誰かが感動する場面にも出会いたい。今後もたくさんの感動に出会えるように、スキルを磨きながら、一つひとつのご縁を大切にしていきたいです。
商品、サービス、企業や人の中に潜んでいる「想い」を掘り起こして、感動や共感をつくることを大切にしています。
ブランディング、パンフレット、パッケージ、広告企画などを通して、お客様とのよりよい縁むすびをお手伝いします。
広島県安芸郡坂町平成ヶ浜2-2-72-101