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木材と布の
異業種コラボ
空間演出プロダクト
事例 SKELETON
木材加工メーカー
製造業
synapse
プロダクトデザイン

INTERVIEW

偶然の出会いから実現した、木材と布のコラボテント

今回一緒に商品を作った木材加工メーカーさんとの出会いは、Web系のイベントに参加したのがきっかけでした。僕が年に一度、広島職人博覧会という展示会に参加していて、そこでは「新しいものにチャレンジする」という趣旨で、職人さんが自由にチャレンジした作品を展示するんです。自分は布に関する仕事をしているので、布を使ったテントを出品しようと考えていました。
その展示会の3週間前に、偶然参加したイベントで、設計もされているそのメーカーさんがデジタルファブリケーション(※)についてのレクチャーを行っていました。その内容がとても興味深く、彼の木材と僕が得意な布を合わせたら、きっと面白いものができると感じました。そこで、イベント終了後の打ち上げの場で、僕が作ろうとしているテントのお話をし、その3日後に彼の工房を訪れる約束をしました。この出会いがなければ、もっと普通のテントになっていたと思います。

※デジタルファブリケーション
レーザーカッターや3Dプリンタ、CNCマシンなどの、コンピュータと接続されたデジタル工作機械を使って、3次元CADのデジタルデータなどを用いて木材などの素材を切り出す技術。CNCとはComputer Numerical Controlの略称。

制限がある中で、アイディアを実現可能な形に

3日後にはテントはこういう形にしたいという図面を持参して彼の工房を訪れたんですが、それを全て実現するのは難しいとのことでした。「こういう形だったらできるんじゃないですか」というアドバイスをいただきながら、出展まで時間も限られていることもあり、現時点で実現可能なデザインを一緒に探りました。当初私が考えていた案は箱形のものだったんですが、強度面での課題により実現するのが難しかったので、いろいろとお話させてもらう中で今の5角形の形状になりました。彼が構造などの設計に関する知識を持っていたので、すごく助けられましたね。この商品は「SKELETON」という名前なのですが、建物躯体の状態、スケルトンをイメージしていて、そこからカスタマイズしていく骨格や骨組みという意味があります。

分野の異なるコラボだからこそ、学べる事が多い

彼と一緒にお仕事をして新鮮だったのが、建築とアパレルではベースとなる寸法が異なることでした。双方には共通の規格がないので、どちらのサイズで設定するかについての話なんかもしましたね。アパレルだと、生地の規格でシングル幅、ダブル幅といったものはありますが、そこまで制約がないので、建築のサブロク(900ミリ×1800ミリ)を優先して設計しました。なので、1つのユニットの奥行きは900ミリです。僕は木材に関する知識はほとんどなかったので、材料の選定をする時に木についていろいろ教えてもらいました。僕の専門外の建築的な構造の部分をたくさん教えてもらったので、本当にお願いしてよかったなと感じています。

3次元で確認できる、新しいものづくり

SKELETONの材料は普通にホームセンターなどで売られている木材を使用しているのですが、角パーツの接合部は、彼が持っているHandiBotという小型のCNCを用いて加工しています。実際の部材の加工も彼に担当してもらいました。
本当に時間のない中での制作だったので、彼から完成した部材が届いたのは展示会の初日の会場で、組み立てられるかすごく不安でした。しかし今回のプロジェクトではSketchUpという3次元CADを用いていたので、そのソフト上で3次元での組み立て方を360度グルグル回して確認できたので、それを見ながらなんとか組み立てることができました。このように、それぞれの部材の組み立て方を確認できるこのやり方は新しいなと、今後の可能性を感じました。3次元上に文字を書くこともできますしね。2次元画面だったら、こうはいかなかったと思います。

展示会で感じた今後の可能性

実際、職人博覧会に展示した際の反応はとても良かったです。作品を見られた方が「こういう風に使いたい」とか、「あれにも使えるね」「ガラス張りにしたらいいよ」といったコメントをくださって、みんな面白い発想するなぁと(笑)。でも、自由に想像していろんな意見を言ってくださるということは、今後の展開を含めて、色々と可能性があるなと感じましたね。

実際に自分達で商品を使って提案する事で、販路を広げる

展示会の後は、主催者の方に声をかけてもらったことがきっかけで安芸高田市のアートまつりin向原に出展者として参加しました。ここでは、SKELETONをどう使うかということを考えて、コーヒースタンドとしてカフェをやってみました。家形の骨格がとても印象的で、おしゃれな屋台としての使い方もあるなと実感しましたね。それがきっかけとなって、その後もいくつかのイベントで使用しました。今は使いたいという方にレンタルする形にまでなっています。

当初は布と木材を併用したテントとして考えていたのですが、自分自身でもそれを使って色々試していると、何か限定の用途に特化するというよりも、いろんな用途にあわせて使えるユニットとしての可能性があるなと感じています。アパレルショップでのポップアップショップとして使用していただく事もありますし、空間を演出するものとしても使われています。

商品としての幅を広げやすい、シンプルな構造

SKELETONはとてもシンプルな構造なので、簡単に組み立てられるようになっています。画像は電動ドライパーでのネジ締めを行っていますが、ゆくゆくは手でネジを締められるものにしたいです。またそれぞれのパーツは、女性でも組み立てられるように、軽い木材を選んでいますので、いろんな方にいろんな用途で使ってもらえると思います。今後は単品での販売も計画しています。ちょうど、プロトタイプからフィードバックを得た、ボルトで固定できるタイプが完成しましたのでこれから生産していきたいと思います。

新しい技術を取り入れて、楽しめる仕事を増やす

私は洋服や布をミシンを使って加工したり、刺繍したりといったことを自分の事業の柱としています。でもそれだけをやっているのでは、どんどん取り残されていきますし、他社との差別化をしていくことも必要だと思います。そこに新しい技術を取り入れることで、何か新しい事業展開もあるかもしれませんよね。
以前から3次元CADに興味があったので、ソフトを選んで覚えるところから始めたのですが、SKELETONのように、今ではお仕事でも使えるようになりました。数個くらいのパーツのプロダクトであれば、モデリングからレンダリング、アニメーションまで期待に応えることができると思います。これからも、自分の幅を広げるためにも新しいジャンルのお仕事にトライしていきたいです。

synapse

布にまつわる加工、刺繍を軸にしながら色々な仕事にチャレンジしています。テント、3D CADでのモデリングとアニメーション、coffeestand、着ぐるみなど。

広島市南区翠1-2-35
TEL
080-3504-8891
080-3504-8891
従業員数
1名
創業
2012年
稲垣 聡
アパレルデザイナー

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衣装デザイン/縫製
DEJIMA STOCK
衣装デザイン/縫製/タペストリー
3Dモデリング
プロダクトデザイン
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