「ともに、つくる」を大切に、企業の前進をお手伝い
ひろしまのデザイナーと企業をつなぐ相談窓口

日々の暮らしに
寄り添う商品の
パッケージ展開
事例 mainichi
有限会社備南食研
食品製造業
coto.toco.
グラフィックデザイン

INTERVIEW

営業から出会えたご縁

備南食研さんは福山市の企業で、主に食品会社への生産加工物の卸のほか、自社ブランドの商品も展開されています。備南食研の有水さんとはグリーンアリーナで行われていたビジネスフェアで出会いました。
その頃は、私がUターンで東京から広島に戻ったばかりの時期で、仕事もほぼゼロで、さあこれからどうしようという状態でした。そんな時、知り合いから聞いたビジネスフェアの話。通常は商品の卸をしている企業が出展し、バイヤーと交渉する場なのですが、自分の作品を持って興味のあるブースを回って営業してみるといいよ、と教えて頂いて。そこで作品集を20冊だけ作って緊張しながら行ってみました。私はパッケージデザインが得意だと思っていたので、食品関係のブースへ、「良かったら作品をご覧ください。」と作品集を渡して回りました。その時に出会ったのが有水さんでした。

始まりは相談から

次の日、有水さんだけが電話をくださったんです。今はこういう自社商品があるのだけど、パッケージをどう思うかや、ゆくゆくは、自分で一から商品を立ち上げたいという思いなど、色々お話してくださって。最初はお仕事というより、相談に乗ってほしいという形でした。でも、それが有水さんの今後に向けて、何かのきっかけになれたらいいなと思いました。悩み事には、「こうしたい」という何かが隠れていますから。
その後、「チアシードという商品が扱えそう」という連絡があり、その商品のパッケージデザインをご依頼いただきました。チアシードはゴマのようにも見える食品なのですが、スーパーフードと呼ばれる程、栄養分がたっぷり入っているんです。その当時、チアシードはブームになる前の時期で、私は全く知らなくて(笑)。有水さんのようにスーパーフードを生活に取り入れている方はもちろん、私のように健康には興味はあるけどチアシードのことを全然知らない人にも手に取ってもらいたいという思いをお持ちでした。

普段の食事に取り入れられるスーパーフード

スーパーフードと聞くと、とっつきにくいというか、なんかすごそうで自分の生活には取り入れにくい気がするなと思っていたんです。でも、有水さんのお話を聞いていると、お味噌汁に入れたり、飲み物にプラスしたりと、普段の食事に簡単に取り入れられるんだなと知って。それから、有水さんの扱われるチアシードは、通常市場に良く出回っている黒い色のチアシードとは異なり、色は白く、通常のものよりも栄養価も高く、希少価値も高い、特別なホワイトチアシードでした。
商品名は、そのまま「ホワイトチアシード」という案もありましたが、有水さんの言われる、「普通の食事に簡単に。」という想いから、より親しみのある日本語で「白」。「白いチアシード」と決まりました。

担当者の思いをブランドとして伝える

それから、同業他社のリサーチに、自然食品のお店やスーパーなどへ市場調査にも行きました。チアシードがブームになる前の時期でしたが、他にも「チアシード」という商品が並んでいました。同じ舞台に商品を投入したとしても、果たして手に取ってもらえるのかなと疑問がわいてきて。パッケージだけおしゃれにしても何か違うんですよね。有水さんがやりたいと思っていることは、ただチアシードを売るのではなくて、チアシードみたいなスーパーフードをたくさんの方の生活に取り入れて、健康になってもらいたいということでした。その時はまだ漠然としていましたが、チアシードで日々の食事が豊かになるというような、生活も含めて提案するのがいいんじゃないかなと思って。有水さんにしかない、有水さんの思いをブランド化しませんかとご提案しました。ブランドとして、背景があってしっかりとした物語があれば、お客様にも伝わるんじゃないかと思ったんです。

取り入れることで、毎日が健やかに続く商品

どういうブランド名にするか、様々な名前を挙げてみた時に、「毎日」というのがキーワードかなと思いました。というのも、何度も有水さんが「毎日普通にスーパーフードを普段の食事に取り入れてほしい」と言われていたんです。日々が続くということは生きているということだし、健やかであるということじゃないかなと思って。ブランド名を「mainichi」としました。「日々がつづくは、生きていくこと。すこやかなるmainichi(マイニチ)をあなたへ。」という想いをそのままサブコピーにしました。

ただおしゃれなのではなく、伝えたいことを伝えるデザイン

mainichi と決まり、デザインはどうしますかというところで、有水さんが mainichi として伝えたいことは「自然のままの食べ物・栄養価が高い・温かみがあって美味しそう・安心安全」の4つでした。ターゲット的には幅広い年齢層を考えていて、美容と健康に敏感な若い人を受け入れつつも、自然食品のお店で集うおばあちゃん達にも受け入れてもらいたいねと話していて。年齢層が高い方が見て、ただおしゃれなパッケージだと伝わらないから、安心だなと見て伝わるようなものにしようと。それで、パッケージ自体が笑っているものにしたらどうかなと思って。笑っているという事は健康であるといういうことですし、店頭でコミュニケーションがとれそうですよね(笑)。おすまししてチアシードとして置いてあるよりも、お口の中にある素材を見てもらえたらいいなという気持ちでデザインしました。

ブランドとして展開がスタート

ブランド化したので、気持ち的にはこのシリーズがチアシードだけで終わらずに続けばいいなと思っていました。自社商品としてすでに生姜ココアや玉ねぎの皮などを販売されておられたのですが、ブランドとして名前を付けて展開する商品はこれまでになかったということで、社内的にも評価されたそうです。有水さんが今後もシリーズとして展開したいという思いが出て、スーパーフードで次に何を出そうかという目線で、仕入れられる原料を精力的に探されて、チアシードに続く新しい商品展開が始まりました。

あくまでもブランドイメージを大切に、ストーリーを絵にする

卸しているお店のバイヤーさんから「mainichi のパッケージは控えめ美人」と言われて(笑)。その後、カニワ、テフ、バジルシードなどをmainichi のシリーズとして展開するにあたり、現場の意見を大切に、柔軟に考えたいと思い、デザインを少し変更することにしました。ただ、だからと言って mainichi の路線から外れることはしません。変えたのは、パッケージ全体で素材の物語を表現すること。例えば“テフ”、太陽をさんさんと浴びて、ぐんぐん育った稲穂が金色に輝きながら風に揺れる様をパッケージに描きました。

広島を拠点にして、お客様の思いを形にする

今回の mainichi のようなパッケージのお仕事は自分の実績としても多い方だと思います。最近では、お店をされている方や、これから始められる方の販促物を作る仕事も増えていますね。以前は東京の広告制作会社で働いていましたが、2014年からは広島にUターンして個人でデザインの仕事をしています。今回のお仕事は広島に戻ってきて初めて手掛けた仕事なので、思い入れは深いです。現在は、私の事を知ってくれた人からの紹介という形でお仕事をいただくことが多いですね。お客様とは商品の物語や背景などから一緒に話をしながら作るので、代理店さんが付くお仕事より、直接オーナーさんとやり取りするお仕事が多いです。

大切なのは、お客様の未来につながるデザイン

普段から大切にしていることは、何かを作ってくださいと言われても、それでいいのかなと一呼吸置いて考えてみること。「こういうのを作ってください」の一言には、企業が今までどういうことをしてきたか、これからどういうことをしていきたいか、今後どうなりたいのかということと、担当者が何を描いていてどうなりたいか、ということが集約されていると思っています。
例えば、パッケージをデザインする時、そのデザインはその人や企業の未来となるものを作ると思っていて。ただパッケージを作るのではなく、担当者が見ている先が見れるものにしたいと思っています。それがデザインに落とし込めたらいいですね。作って終わりなのではなくて、そこから広がるものになってほしいと思っています。デザイナーにデザインを依頼するのはハードルが高いと感じている方はまだまだ多いですが、対価を払っていただいてその勇気に答えることって、そういう表面的なデザインではない部分かなと思っています。

お客様のこうなりたい、に寄り添う

私には、スーパーフードを探してくることはできないし、美味しいパンを作ったり、糸からオーガニックコットンの下着を作ることもできません。デザイナーという仕事をやっていて一番の喜びは、そういう事業をされている人が歩んできた道や、将来こうなりたいという思いに寄り添えることだと感じます。お手伝いすることで、お客様の事業がさらに良くなっていくというのが一番。さらにいろんな方に手に取ってもらえたり、売り上げにつながると嬉しいですね。
今後やってみたいこと、と言えるかは分かりませんが、一番は続けることですね。今後もデザインのお仕事を続けていきたいなと思っています。

商品開発担当者
有限会社備南食研
coto.toco.

1981年広島県生まれ。2005年女子美術大学卒業。広告制作会社勤務を経て、2011年より、フリーのグラフィックデザイナーとして活動開始。2017年第9回広島アートディレクターズクラブ審査会にて、"H"ADC賞グランプリ、"H"ADC賞受賞。

広島市
WEB
http://namiyabuki.tumblr.com/
従業員数
1名
創業
2011年
矢吹 菜美
グラフィックデザイナー

coto.toco.のその他のお仕事

オーガニックコットンの肌着シリーズ・
marru「春夏秋冬」
パッケージデザイン
「喫茶 丘と山」
フライヤーデザイン
PAIN Cloche
ロゴマーク・ショップカードデザイン